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2011年9月16日金曜日

SCEJと任天堂を天秤にかけるサード

 任天堂とSCEJを天秤にかけるかのようなサードがある。現時点での代表例はカプコンだ。カプコンが衝撃的だったのは、①モンハン3Tri Gの3DS投入 ②モンハン4の3DS開発 ③3DSでの(右)アナログスティック拡張 ④Vitaでのモンハン販売の予定無し といった辺りになる。NGPと呼ばれていた頃のVitaは、モンハン3ポータブルのDL版が遊べるとされていた。モンスターハンター自体、PSPの救世主と言っても過言ではないソフトなので、背景には任天堂側の相当な働きかけないし譲歩があったのかもしれない。

 繰り返すがPSPにとってモンスターハンターは紛れもなく救世主で、PSPの本体出荷台数の伸びにもっとも貢献したソフトで間違いない。DSから見ると、モンスターハンターさえなければまだ戦えたという印象すらあるだろう。海外でPSPが不人気な最大の理由はモンスターハンターが受けないからではないかと思うが、国内では圧倒的強者であり、PSPとDSの携帯ゲーム機戦争を制したのはモンスターハンターポータブルだったと言い切ってしまっても過言ではないだろう。

 だが、モンスターハンターというソフト自体は非常に位置づけが難しく、据え置き機ではそこまで圧倒的ではない。Wiiのモンスターハンター3Triも、XBOX360やPCのモンスターハンターフロンティアオンラインも、強力ソフトではあった物の、携帯ゲーム機における存在感とは別格である。モンスターハンターというソフトは据え置き機の高画質路線が絶対的な指標ではないことを示す格好の存在だ。

 で、今ここで重要なのは、カプコンが何を考えて3DSに参入したかと言うことだ。カプコンは元々判官贔屓的なところがあって、己の力でゲームプラットフォームを盛り上げようという良い意味で傲岸な所があるソフトウェアメーカーだ。国内外におけるXBOX360ソフトでは、カプコンの存在感はかなりのものがあった。3DSについては、新ゲーム機と言うこともあって、条件さえ満たせばカプコンの力で売れるハードにできると考えたのだろう。

 その条件こそ、最近相次いで発表された【3DS本体の値下げ】【右アナログスティック】ではなかったのだろうか?モンスターハンターの引き抜きに必死だった任天堂と、それに応じても良いと考えるカプコンとの間で話し合いがもたれ、上記の譲歩を任天堂が示したのではないかと思える。任天堂の唐突な値下げは株価対策だけにしてはやや性急で、今になってみればカプコンのモンスターハンター移植を決めるための措置だったのではないかとさえ思える。

 カプコン側に有利な条件が別途設定されたかどうかは別にして、カプコンの戦略としても3DSは悪くない。まず、Wii版の焼き直しであるTriのポータブルを3DSで開発することは比較的難易度もリスクも低い事。PSP以上の性能であり、値段は下回るか同等の3DS版でのリリースは、本体牽引効果も含めての販売台数が見込めること。上記のソフトウェア開発と本体出荷を土台にして、本命のモンスターハンター4を3DSで発売することは、Vitaで開発するよりもより速く成果を手に出来る道だ。

 開発難易度としては、PSP並みの3DSに開発する方が、HD機のVitaでいきなり開発するよりも敷居は低い。ゲーム内容もWiiの移植を中心に据えれば済む。大作ソフトとして任天堂のバックアップも期待でき、カプコンとしてもわがままを言いやすい。加えてVitaのラインナップに埋没するより、落ち目の3DSを延命させる方が存在感を発揮できる。

 カプコンとしても最終的にはモンスターハンターをVitaに参入させるだろうが、それまでにSCEJに歩み寄らせても悪くはないし、Vitaの開発環境の充実や本体出荷台数の伸びといった市場の成熟を待つのは悪くない。

モンスターハンター4発売後については、当然未知数だ。おそらくはVitaでより高画質なモンハンを披露するのではないかと思う。だが、3DSは強力サードを味方につけてようやく一息漬けそうになった。自社ソフトも年末には出そろう。

 株価に対して言えば、外国人投資家にモンスターハンターは理解されていないと考える。が、それはそれとして、3DSとVitaを順番に処理していこうとするカプコンの経営判断は、至極妥当なものに思えてならない。惜しむべきは3DSにおける任天堂の見切り発車ぶり、数々の判断の甘さだが、カプコンというプレイヤーが存在感を発揮したことで、右アナログスティックを含め、是正されてきた、というのが今の状況だと思うのだが、どうだろうか。


しかしこのアイテム、間違いなくゲームの歴史に名を刻むだろう。(定価は1500円です。)

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