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2011年9月14日水曜日

任天堂とSCEJの対決は任天堂がポイントを稼いだ

 2日連続で行われた任天堂とSCEJのカンファレンス。ネット媒体による記事だけでなくて、USTREAMやニコニコ動画での中継が行われたため、視聴者が多かったようだ。任天堂のUSTREAMは4万7千人を突破していたようだ。ニコニコ動画分もかなりの数になると予想されるので、消費者の関心の高さが伺える。

 残念だったのは本日のSCEJで、ニコニコ動画のみの配信だった。これはVitaにニコニコ動画が参入するからかもしれないが、任天堂がポイントを稼いだ結果となった。

 予期せぬ新作タイトルがあった任天堂、既報やリーク通りのSCEJ。
 開発ソフトのプレイ動画があった任天堂、ゆうなま以外ロクに動画のないSCEJ。
 デモ映像配信する任天堂、3Gプランが目玉でPSPタイトルへの対応を検討中なSCEJ。
 カンファレンス後、ソフト会社の映像が流れた任天堂、フォトセッションを垂れ流すSCEJ。

 SCEJ贔屓の立場だが、内容は任天堂の方が良かった。プレゼンも岩本社長の語りの方が良く、「実機の映像を見ないとよくわからないでしょう?」というところは、今の3DSのスクリーンショット詐欺とでもいうべき批判にきちんと正対していたと感じた。任天堂が配信したガッチャマンの映像を、SCEJ後に希望する声が出るのも納得の差があった。

 正直に言って、Vitaで欲しいローンチタイトルはアンチャーテッドのみ。PS3とのトランスファリングには期待できるものの、即戦力と言えそうなタイトルは多いとは言えない。26タイトルのローンチと連呼するが、ゲーム内容がないと全く響いてこない。意味が無いとさえ感じる。

 一方の3DSは、モンハン、三國無双、Gジェネといった個人的にどうでもいいタイトルに加え、ファイアーエンブレム、ルイージマンション2など、プレイ動画を見るとおもしろそうなソフトが多かった。開発中かもしれないが、動いてるところを見ると欲しくなるという感覚は重要だと思う。

 また、Vitaにおいては3G通信の何がゲーム性に大きく貢献するのか全く提示されなかったように思う。コストは確かに出た。使うのは自由だというのは分かる。しかし安価な場合の128Kの通信費で何が出来るのか? 今のところiPadの3G版以下の説明しかなされていない。

 3Gでなければいけない価値というものが提示されていないのは、今のSCEJの戦略としては非常にマズイ。これで3G版が売れるわけがない。3G版しか売らない前提であったなら、搾取システムと言われても否定できない。

 Wi-fiでPocektWi-fiやWiMAXに接続するのと何が違うのか。きっとなにも変わらないんだろうな、と消費者に感じさせてしまったのはまずかっただろうと思う。


 上記の背景に、SCEJは今回、本体性能と価格という2大ハードルをクリアした本命という意識があったと思う。自他共に認める本命だからこその油断が出たし、サードもそれを望んでいた。そう考えるのは早計だろうか。

 任天堂の方は、定価を切り下げざるをえないほど3DSが低迷し、WiiUを見切り発車でスタートして開発が難航している現状と、株価が低迷している厳しい現実に直面している。かえってそれが良かったようで、3DSとWiiに注力し、どうすればよく見せられるかを工夫し、ソフトそのものも需要だけれど、プレゼンによる差別化を意識していたと思う。サードの切り崩しというか、カプコンに対する水面下の働きかけもかなり強力だっただろう。

 死に物狂いの結果が実ったというか、ケチを付けられたことに出来る限り対応をしてきてみせた。この底力は恐るべきものがあり、岩本社長も追い込まれて迷いがなくなったようだ。(まだWiiUという巨大な難関があり、発売に至るかどうか疑わしいとさえ考えられるが)

 ただこれはあくまでも現時点の話で、短期的な視点に過ぎない。3DSは購入した事を後悔するハードでしかなかったが、少し希望が持てるようになったし、Vitaは不透明なところはあるものの有望なハードである事に変わりはない。

 ただ、プレゼン能力や世間の働きかけの分野で任天堂は底力を見せつけた。現状認識が適正な企業が努力することほど恐ろしい物はない。任天堂は逆境にいるが、だからこそ興味深い観察対象になったかもしれない。

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