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2011年2月19日土曜日

NGP価格戦略

 NGPの価格は当初かなり安い、と伝えられた。私は3G標準搭載で3G課金による収益モデルなので導入価格が安いのだろうと判断した。ドコモとSONYが提携したし、XperiaPlay&PSSにみられるようにSONYのスマートフォン志向は強い。NGPもスマートフォン的な使用が想定されているようだ。想定されている販売モデルはiPadの3Gモデルに近かったのだろう。

 ただ現状は、3G搭載NGPはかなり否定的に受け止められた。その為、Wi-fiモデル待望論が、SCEE幹部からも寄せられるに至る。本体価格の安さへの期待が高まりすぎるのを打ち消すために「PSP並の値段では売れない」という火消しに躍起になっている。NGPは高性能機という評価は揺ぎ無いので、29800円なら問題なく販売可能だろう。ただ29800円がWi-fiか3Gかで売れ行きは変動する。3Gなら、19800円でないと厳しいだろう。

 ツイッターで以前呟いたのだけれど、SONYの3G標準搭載戦略は価格とメリット次第では受け入れられる可能性が高い。「任意の3G通信禁止の場合は最低月額500円」にすればいい。3Gを本体のID確認や本体・ソフトウェア更新に用いるだけならその値段でも折り合いは付けられるだろう。月額500円でも年額6000円となるので、高すぎると言われるかもしれない。ただこれは無料でソフトを1本ダウンロード可能にするなどすれば、批判は低下するはずだ。SONYはPS3でも月額徴収システムPlaystaionPlusを発案して、成功には程遠い状態にあるが、システムとしてはそれに近いものを、NGPへの3G標準搭載とソフト1本ダウンロード無料のセット販売という形で推し進めればいい。少額とはいえSONYには維持費が入り続けるし、3Gによる海賊版対策も容易になる。NGPを買うユーザーなら、年1~2本のソフトウエア購入力はある。DL版で1本手に入るなら、年額6000円程度なら許容される範囲だと思える。3Gでネットや通信対戦をしたい層は、更に高額の料金プランがあってもいい。

 3Gにはデータ通信以外で様々な用途がある。海賊版対策や本体識別、リージョンコードに変わる国別の管理も出来そうだ。月額徴収の大義名分でもある。これらの3Gの有用性は今のところメーカーのSONY側の利便性しか見えないのが問題で、3GによるユーザーメリットをSONYがきちんと説明すれば、価格的にはもう少し上でも受け入れられるかもしれない。

 もう少し細かく見てみる。マジコン対策に、最も効果的なのはPS3のモデルだった。常時接続性と頻繁なアップデートが重要だったということになる。また常時接続性は、SONYが触れていたネットワーク上のセーブデータ保存にも繋がる。PS3とNGPの間のセーブデータ共有が、PSN上に管理される事で実現すると理解しているが、これは月額徴収の収益で維持運営費が考慮されているから実現可能になるのだろう。つまり3Gが標準装備でなく、月額制でなくなれば、SONYのプランは絵に描いた餅でしかなくなる。SONYとしてはNGP事業の先進性と旨みが損なわれるので避けたい展開となる。今は慎重に落とし所を探っているだろう。しかし、Wi-fiと3G併売になってしまうと、収益性という意味ではかなり厳しいはずだ。

 SONYの3G戦略の実際は不明だが、たぶんもっと消費者にとって負担の大きな内容だった可能性は高い。ドコモの回線速度はとにかく高いので、300k通信でも結構徴収される。消費者はその事を熟知しているので、NGPの3G標準搭載には否定的だ。月額が発生する場合は、欲しいソフトが出るまで買い控えが起こるだろう。

 ドコモとは話し合いが付いていたかもしれないが、各国の通信キャリアとの話し合いもまだだっただろう。NGPの海外展開も見えていない。通信キャリアとの交渉の際、SONYは足元を見られかねない。余計な苦労をせずに本体だけ売ればいいwi-fiモデルをSCEEが要望するのも当然かも知れない。この状況から消費者の納得する価格で3G通信キャリアを説得するのはかなり難易度が高い

 月額が発生する場合、NGPは子どもが買える玩具ではなくなる。それはかつてPS3が通った道だ。3DSが圧倒的に有利になるだろう。実際、iPodTouchは子供の購入者層が多いという話がある。子供には回線費負担費用は捻出できないのはほぼ確実だ。ソフトの購入費がやっとだろう。Wi-fiモデルなら3DSが漁夫の利を占めるを回避出来るが、SONYが考えている市場の立ち上げには失敗する可能性がある。私は3G通信を抑えた低額の月額制が鍵だと考えているが、SONYやドコモが考えていたのはもっと高額な定額制だったのだろう。しかし、NGPとスマートフォンの2台持ちをする人は居ないだろうから、NGPの通信費は抑える方向性でなければ成功はしない。

 NGP自体は高性能機なので、高いものですが、安く購入頂けるように工夫します、の戦略が良かったはずだ。人間はリボ払いには鈍感な生き物である。月額の価格設定次第でNGPは売れ、SONYの収益性も確保できるだろう。SONYは3Gモデルで、本体販売台数が収益に直結するモデルを確立しようとしている。回線契約をしてあまり使わず寝かせたままの消費者は多いし、あながち間違ってはいない。SONYに欠けているのはお子様向けのプランの確保で、ソフトウェアのダウンロード権とセット販売することでそこをクリアするしかない。SONYはこれ以上叩かれることを恐れているが、いつかは発表しなければならないことなので、消費者に受け入れやすい形で堂々と進めていくしかない。3Gモデル搭載に対する否定的反応で狼狽えて火消しに走るのはおかしい。

 SONYのトップは冷静な判断を下せるはずだが、国内の状況だけで販売を進めてしまったのかもしれない。ただ低額プランが実現可能なら、国内でまずそれを実現するべきだ。実例があれば消費者はそれを後押しするので、各国でも通信キャリアが折れる可能性はある。しかしながら、高額プランしか用意されていなかったなら、事業規模を縮小してWI-FIモデルでいくしかない。SONY内部ではそのせめぎ合いが行われていて、調整に調整を重ねているのだろう。

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