最初にいってしまうと、「3D液晶による立体視」「ポリゴン処理能力向上による3Dモデル」「ARコードによる仮想化技術」の3つだ。本当は「3Dがゲームに必要であるか」について正面から書きたかったけれど、諦めた。3DSの3D液晶を見たことがないので流石に無理だ。なので今回はもう少し大きな、3DSの3Dで任天堂が何を意図しているかについて書いてみる。
「3D液晶による立体視」は既に周知のことなのでここではあまり触れない。ただ、SONYがPS3で実現した専用眼鏡と専用テレビによる3Dと、3DSの裸眼立体視は方式が異なるため、見え方も異なるようである。近年、3Dといえば飛び出す技術と知られているが、任天堂の技術はどうも飛び出さないみたいだ。奥行きが増すだけという話もある。この辺りは、未見により書くのを諦めたのでご容赦願いたいが、根本となる技術が異なるという認識だけあれば良いものと思われる。任天堂にとっては、おそらくスマートフォンとの差別化の切り札となる点でもあるが、その機能をテストしたユーザーに不満や不安が現在生じている機能でもある。
「ポリゴン処理能力向上による3Dモデル」は、実は任天堂が一番喜んでいる要素ではないかと思うが、2Dゲーム主体だったDSから、ポリゴンで綺麗に描写された立体的なゲームづくりが可能になった事を意味する。DSでもポリゴンは扱えたがiPhoneのラブプラスを見れば分かるようにDS版は低性能が顕著だった。今回、nintendog + catsでもDS版からの進化として、グラフィック向上が明言されている。サードでもポリゴンを全面に出した作品が多く、NGPと比べれば劣るにしても、満足できる水準に達した事は確実と思われる。NGPやスマートフォンとの差別化という点では微妙だが、ゲーム作りに於いては不可欠な進化だった。「パイロットウイングスのような3Dソフトがグリグリ動くぜ」、という任天堂開発陣の喜びの声が聞こえてきそうだ。
「ARコードによる仮想化技術」は、既にiPhone版ラブプラスで採用されたものと同様の技術だ。3DSは3Dカメラによる3D立体視なので、平面仮想現実よりは、3D仮想現実な分、スマートフォンでできることを超えている。(3D撮影用にカメラを2つ装備したスマートフォンは見かけない)手のひらにARカードを於けば、そこに3Dのキャラクターが浮き上がるという仕組みで、老若男女を問わずその不思議さを体感できることは3DSの高評価につながりうる。おそらく見る、だけでなく、3DSでしか見れない3D写真としても残せるようになるだろう。
「nintendog + cats」を例にとると、愛犬が立体的に見え、DSよりはるかに綺麗に表示され、手のひらに持ち出せるようになる訳だ。NGPで同じことは機能的に出来ない訳で、任天堂のターゲット層にDSより進化した3DSを印象づけることができるかもしれない。3Dに不安を持っている人は、ゲームの3D部分の程度に不満をいだいていると思われるが、ARと組み合わせる事で、その不満が解消される可能性はある。ARもそこまで特別なことは必要なく、ゲーム制作の過程で3Dモデリングされたものを表示すれば良いはずだ。バイオハザードで敵のゾンビが3Dモデリングされているなら、それをARを使って簡単に表示できると面白いと思う。
巷で言われる「3Dはゲームに不要」論は、主に「3D液晶による立体視」が不要だと説いているように感じられる。ただ、3つの機能が連動して補完しあうことで、新しい体験が生まれるというのが任天堂の意図だろう。それを任天堂は消費者に向けて証明する必要があるが、3Dに反対の人が考えている程、その難易度は高くないように思える。ただし、ハードゲーマーが望む機能かどうかは微妙だ。
ラブプラスは恋愛ゲーということでヒットしつつも敬遠もされたが、初音ミクはPSPで人気のコンテンツとなった。セガはどちらかといえばSONYよりのスタンスだが、ラブプラスは勿論、初音ミクは3DS向けの題材のように感じられる。初音ミクに限らず、仮想化したキャラクターのゲームというジャンルが定着すれば、3DSがゲーム機の中でユニークな一角を占めることができるようになっても不思議ではないかもしれない。任天堂ハードがギャルゲーハードになるところはあまり想像できないが、ラブプラスの存在を誰も予期できなかったわけで、任天堂とAR&3Dはかなり強力な威力を発揮するかもしれない。
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