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2012年1月31日火曜日

御手洗新社長の戦略はこれだ(多分)

衝撃の冷めやらない御手洗氏の社長復帰。
ツイッターで、御手洗氏の日経新聞インタビュー記事を知る。

「経営者の提言」というシリーズ記事の12回で長文のインタビューとなる。

2012/1/23のもので、既に社長復帰が念頭にあった事に間違いなく、
インタビューした記者でさえ承知していたかもしれない。
今の御手洗氏の方針を知る上では一級の資料といえる。


①成長戦略の要になるのはグローバリゼーションです。

 既にキャノンは特定分野で高い国際シェアを有しているようにも思えるが、
 TPP参加を前提とした、中国やインドでのシェア拡大が主旨のようだ。

 経団連的立場からTPPに関心が深いのは理解できる。
 (御手洗氏自身が経団連に於けるオピニオンリーダーであったと思える)

 TPPに基づいた輸出増強で、韓国のFTAを先行者と認識しているのが読み取れる。
 要約すると日経新聞的な「韓国に追いつけ追い越せ乗り遅れるな」となる。


 反対意見になりそうなものをまとめると

 ・TPPの反対意見が農業としか理解していない
  (或いは公言しない事で農業問題に限定した議論展開をしている可能性がある)
 ・中国、韓国経済のやばさや脆さを理解せず、データ鵜呑みにしている
 ・キャノンの製品がTPPとどう結びつくのかが分からない。
 ・中国やインドを今からターゲットにするのでは遅いのではないか?
 ・ターゲットとしてはロシア、ブラジルやインドネシアではないのか?

 といったところになるだろう。

 TPPとキャノンの戦略が有機的に結びつく戦略を提示されないと、
 企業経営者としての見識には欠けるように思える。

 個人的には中国関連のデータは捏造されたものが多いという意見が信じられると感じる。
 私なら中国関係の取引はしない。

 特に中国、韓国は日本以上の少子高齢化社会になるのが間違いない。
 韓国をその意味での日本先行モデルとしてみるのは誤りではないかもしれないが、
 「今更、中国かよ」というのがキャノン社員の率直な感想ではないだろうか。


②もうひとつ日本にとって重要なのは研究開発です。

 ここで述べられているのは、

 「日本が海外で勝つためには新商品開発能力が重要である。」

   ↓

 「日本での研究開発費は対GDP比では先進各国と変わらないが
  政府の比率が小さい」(日本政府はなんとかしろ)

   ↓

 「日本企業は海外の人材も研究開発の戦力として生かしていかなければなりません。」


 個人的には論理の飛躍を感じるがお分かりだろうか?
 グローバリゼーションによって企業の国際化が進むのは、企業独自の選択で、
 政府による支援を要請するのは、まぁ、勝手な話ではある。

 が、海外で稼いでくることは日本の雇用を守ることになうと持ち上げた上で、
 海外の人材を積極的に登用していく、としている。

 本人の中では矛盾しないのではないかと感じるが、
 海外に打って出るにあたって、政府の支援の受けてやりたい
 が、日本人よりは外国人の優秀な人材を確保したいし、
 それは研究職に留まらない、と述べている。

 日本人の職を守るために国際市場に打って出るのではないの?という
 根本的な疑問を感じてしまうわけだ。

 私はナショナリズムを盲信するつもりはないのだが
 自国企業だから応援するという考えはシンプルなものと考える。

 企業として国際化をする、という選択は当然アリだと思うが、
 今まで同様に日本政府や日本国民が支えるのが当然という考えはどうだろうか。

 疑問は尽きない。
 が、円高だからこその外国企業買収や、研究開発資金のドル化という選択肢もある。

 御手洗氏の実際の手腕がどのように発見されるか、大変興味深い。

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